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月曜の朝、いつも通りXを開いたら、SKハイニックスの本国株が下げているという投稿が流れてきた。
先週ナスダックにADR上場したばかりで、初日は+13%高だった銘柄だ。それがなぜ本国では急落しているのか。今日はその答え合わせをしながら、結局サーキットブレーカーまで発動する一日になった記録を残しておく。
7月10日にSKハイニックスのADR(ティッカー:SKHY)がナスダックに上場した。調達額は265億ドル(約4.3兆円)、スペースXに次ぐ史上2番目の規模、米国外企業としては史上最大の株式売り出しだったと報じられている。
初日は公募価格149ドルに対し、終値168.01ドル(+13%)で取引を終えた。
ADRには公募価格から+13%前後のプレミアムがついている。海外機関投資家からすると、韓国本株を持ち続けるより、米国市場で直接取引できるADRに乗り換えた方が合理的だったとみられる。本株からADRへの資金シフト、いわゆるポートフォリオ・リバランスが起きたということだ。
そして7/13の月曜、本株が通常取引に戻ったタイミングで、この売り圧力が続いた。TradingViewのニュース欄には「韓国SKハイニックスが8%超下落、米上場完了で利益確定売り」という見出しが出ていたが、終値ベースではさらに下げ幅が拡大した。
SKハイニックス:▲14.40%(1,866,000ウォン、前日比▲314,000)
サムスン電子:▲9.82%(257,000ウォン)
SKスクエア:▲17.03%(1,169,000ウォン)
朝の時点では「10%安」で見ていたが、終値にかけてさらに下げ幅が拡大した。特にSKスクエア(SKハイニックスの親会社にあたる持株会社)の▲17%は、グループ全体への波及の大きさを物語っている。
サムスン・SKハイニックス・キオクシアの3社は、HBM需要というひとつのテーマで株価が連想される関係にある。だからSKハイニックスの急落が、同じメモリ株のサムスン・キオクシアに波及するのは自然な流れだ。
ここで気になったのが、半導体製造装置株のKOKUSAI Electric(6525)の値動きだ。始値10,750円から一時11,475円まで買われる場面もあり、終値でも10,620円・▲2.03%と、メモリ株の下げ幅とは比べ物にならないほど軽微だった。もし半導体セクター全体のリスクオフなら、装置株も一緒に大きく売られるはず。ほぼ無風に近い値動きだったということは、今回の下げは「メモリ株」に絞られた連想売りであって、半導体需要そのものが崩れたわけではない、と考えた。
【メモリ株】キオクシア:▲11.88%(67,850円、▲9,150)
【装置株】東京エレクトロン:▲2.41%(71,180円)
【装置株】アドバンテスト:▲3.55%(28,770円)
【装置株】KOKUSAI Electric:▲2.03%(10,620円、▲220)
装置株3社はいずれも小幅安にとどまり、メモリ株のキオクシアだけ二桁の下落。日経半導体指数は▲6.72%まで落ちたが、これはキオクシアが同指数の構成比36.15%を占める最大ウエート銘柄で、その下げが指数全体を押し下げたからだ。
今日は2段階で止まった。軽いブレーキでは足りず、全面停止まで踏み込まざるを得なかった。それだけ売り圧力が強かったということだ。
発動時点では▲8.08%だったが、その後も下げは止まらず、KOSPIの終値は▲8.95%(6,806.93、▲669.01)まで悪化した。
今年に入ってこれで7回目。取引所開設以来の累計では13回目になるそうだ。3月4日、3月9日、6月8日、6月23日、6月26日、7月7日、そして今日。正直、さすがに多すぎると思う。
| 発動日 | 備考 |
|---|---|
| 3月4日 | 今年1回目 |
| 3月9日 | 今年2回目 |
| 6月8日 | 今年3回目 |
| 6月23日 | 今年4回目 |
| 6月26日 | 今年5回目 |
| 7月7日 | 今年6回目 |
| 7月13日 | 今年7回目(累計13回目) |
頻発している背景として指摘されているのが、サムスン・SKハイニックス単一銘柄のレバレッジ/インバースETFの存在だ。値動きを増幅させる装置が市場の中に組み込まれてしまっている状態だと感じる。
韓国取引所の資料によると、6月25日時点でサムスン電子とSKハイニックスの2銘柄だけでKOSPI全体の時価総額の53.43%を占めている。この2社が動けば、それだけで指数全体が動いてしまう構造だ。しかもこの2社はAI・HBM需要で足元急騰してきた銘柄でもある。上がった分、崩れる時も大きく振れやすい状態がすでにできていたと言えそうだ。
そこに単一銘柄レバレッジETFが上場したことで、この構造がさらに増幅された。サーキットブレーカーの発動回数を、ETF上場(5月下旬)の前後で分けるとはっきり出ている。
| 発動回数 | 発動日 | |
|---|---|---|
| 上場前(1〜5月) | 2回 | 3月4日、3月9日 |
| 上場後(6月〜) | 5回 | 6月8日、6月23日、6月26日、7月7日、7月13日 |
上場前は約5ヶ月で2回だったのに対し、上場後はわずか1ヶ月半で5回。頻度は明らかに加速している。
NH投資証券の集計によると、単一銘柄レバレッジETF上場前は3%超動く日が全体の27%だったのに対し、上場後はほぼ倍の53%まで跳ね上がっている。5%超動いた日で見ても16%→33%と同じ傾向だ。前年はわずか2回だった「前日比5%以上の変動」が、今年は既に25回に達している。
ここまで増幅装置が肥大化しているなら、当局が放置しているわけではないだろうと思って調べてみた。実際には、規制の必要性は早い段階から認識されていたようだ。
・5月下旬、サムスン電子・SKハイニックスの単一銘柄レバレッジETF(16本)が上場。当初の運用資産は合計約30億ドル
・6月22日、金融監督院(FSS)の李粲珍院長が「上場を許可したことを後悔している」と異例の発言。この時点で運用資産は約14兆ウォン(約1.5兆円)まで急増
・保有者の約92%が個人投資家、しかも大半は中間層の給与所得者
・6月24日、個別株の週次オプション導入を延期し規制強化を検討中とアナウンス
・しかし今日(7/13)時点でも、レバレッジ上限や取引制限といった具体的な規制はまだ発表されていない
警告は出したが、対応が追いついていない。その間も個人の資金流入は止まらず、商品の残高は膨らみ続けている。今日のような急落を経て、いよいよ規制が動くかどうかが焦点になりそうだ。
ちょうど同じタイミングで、韓国の家計融資の年間増加枠が8割前後まで消化され、下半期は銀行が貸出を絞らざるを得ない、という報道も見た。個人が借金で株を買う「빚투(借金投資)」の余力が細っていくとすれば、こうした乱高下はむしろ落ち着いていく方向に働くかもしれない。
こういう日は、自分の売りシグナルに照らして確認することにしている。
①ハイパースケーラーCapExの下方修正
②NVIDIA GPU出荷計画の大幅な減少
③SK Hynix・Micron・Samsung 3社同時の在庫過剰
今日確認できた範囲では、このどれも該当していない。今日の下げは、ADR上場に伴う需給要因とセンチメントの連想が主因で、メモリの需要そのものが崩れた形跡は見当たらなかった。
今週は7/15にASML、7/16にTSMCの決算が控えている。ここで強い数字とガイダンスが出れば、センチメントは持ち直すはずだ。逆に期待外れなら、もう一段の調整もあり得る。どちらに転んでも、保有理由が崩れていない限りやることは変わらない。
正直に書くと、今日ほどKOSPIが崩れた日でも、自分のメンタルはまったく乱れなかった。
これは強がりではなく、ポートフォリオの組み方そのものの効果だと思う。
$DRAMは資産全体の10%以下に抑えている。だから今日のようにメモリ株が10%以上飛んでも、資産全体で見ればインパクトは1%程度で収まる計算だ。
もう一つ、生活防衛資金として現金を1年分ほど別に確保してある。相場が荒れても当面の生活が脅かされるわけではない、という安心感が、今日のような日でも冷静でいられる土台になっていると思う。
「買った理由が崩れていなければ握り続ける」というルールを事前に決めていたことも大きい。売りシグナルの3条件をその場で確認できたから、今日の下げが「保有理由が崩れた、致命的な下げ」なのか「ノイズだから待つ」対象なのか、迷わず判断できた。狼狽しなくて済む仕組みをあらかじめ考えておくこと。それが一番の方法なんだと、今日改めて実感した。
この記事を書いている最中、TSMCの6月月次売上高が発表された。台風の影響で発表が例年より遅れていたものだ。
6月:4,426.8億台湾ドル(前月比+6.2%、前年同月比+67.9%)
1〜6月累計:24,044.8億台湾ドル(前年同期比+35.6%)
前年同月比+67.9%という数字は、AIサーバー向けの先端半導体需要が6月時点でも衰えていないことを示している。今週7/16に控えるTSMCの本決算に対する期待値を押し上げる材料になりそうだ。
TSMCはロジック・ファウンドリの会社で、$DRAMが直接テーマにしているメモリ需要そのものを証明するものではない。ただ、AIサーバー需要の強さは間接的にHBM・DRAM需要にもつながる話だと捉えている。短期の値動きはノイズだ。長期でHBM需要を信じられるなら、今日みたいな日も気長に構えていればいいと思う。


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