最終更新日:2026年4月
こんな人に読んでほしい
38歳になって初めて、親の財産のことを何も知らないと気づいた。
きっかけは、あるニュースだった。
中山美穂さんが亡くなったというニュースは多くの人に届いた。
その後、お子さんが相続放棄をしたという続報も目にした。
「相続放棄」という言葉は知っていたが、具体的にどういう手続きなのか、なぜそういう選択をするのか、正直よくわかっていなかった。
調べてみると、相続は誰にでも発生する手続きで、知っているかどうかで選択肢の数が大きく変わることがわかった。
この記事では、相続について調べて知ったことと、自分が実際に「確認しておかなければ」と思ったことをまとめている。
まず「相続放棄」とは何か
相続放棄とは、亡くなった人のプラスの財産もマイナスの財産(借金など)も、すべて引き継がないという手続きだ。
家庭裁判所への申述が必要で、「相続の開始を知った日から3ヶ月以内」という期限がある。
なぜ放棄するのか。一番多い理由は、借金などの負債が財産を上回るケースだ。
ただそれ以外にも、手続きの複雑さや不動産の維持が難しいといった事情で選択されることもある。
報道ベースでは中山美穂さんのケースの詳細は明らかにされていないが、相続放棄自体は珍しい手続きではない。
※ 民法938条・915条。相続放棄は家庭裁判所への申述によって成立する。口頭や私的な書面では法的効力を持たない。
相続放棄の案内は、どこからも来ない
相続が発生しても、国や裁判所から「相続放棄できますよ」という通知は届かない。
手続きは自分で知って、自分で動く必要がある。
だからこそ「3ヶ月以内」という期限を知っているかどうかが、そのまま選択肢の差になる。
相続税がかかる人は、実は少ない
「相続税」と聞くと富裕層の話のように感じるが、実際に申告が必要になるのは亡くなった人全体の約1割だ。
それ以外の家庭では相続税はかからない。
相続税には「基礎控除」という非課税枠があり、財産の合計がこの金額以下であれば申告も不要だ。
【基礎控除額の計算式】 3,000万円 +(600万円 × 法定相続人の数)
例:相続人が子ども3人の場合 → 3,000万円 + 1,800万円 = 4,800万円
※ 相続税法15条。2015年1月1日以降の相続に適用。課税件数割合は国税庁「令和5年分相続税の申告事績」による(約9.9%)。
相続税は自分で申告するもの
相続税は国から請求されるのではなく、自分で計算して申告する仕組みだ。
期限は被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10ヶ月以内。
申告が必要かどうかの判断も、自分側でやる必要がある。
申告が必要なのにしなかった場合、税務署から調査が入り、加算税や延滞税がかかることがある。
税務署は不動産の登記情報などをもとに確認しているため、「わからないだろう」とはなりにくい。
※ 相続税法27条。申告期限は「相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内」。
ただし「税金がかからない=手続きが簡単」ではない
相続税がかからない家庭でも、財産の名義変更や遺産分割の手続きは必要になる。
特に不動産がある場合は、相続人全員の合意が必要な「遺産分割協議」を経て、登記の手続きをしなければならない。
【遺産分割協議とは】 相続人全員で、誰が何を相続するかを話し合って決める手続き。
全員の合意が必要で、一人でも反対すると成立しない。
合意内容は「遺産分割協議書」として書面にまとめ、全員が署名・押印する。
不動産の価値は「目的」によって変わる
不動産の評価額は、使う目的によって数字が変わる。
大きく2種類あると思っておけば十分だ。
ざっくり言うと、税金の計算上は低め、実際に売るときは市場次第、ということだ。
山林や農地など売りにくい土地は、そもそも買い手がつかないこともある。
詳しい計算は専門家(税理士)に確認するのが確実だ。
※ 土地の相続税評価は国税庁の路線価図・評価倍率表による。
路線価は実勢価格のおおむね80%程度が目安とされている。
山林・農地など路線価のない土地は倍率方式で計算。
つまり相続は、税金の問題というより「手続きと話し合いの問題」であることの方が多い。
そしてその難易度は、財産の種類と相続人の数によって大きく変わる。
「うちは関係ない」と思っていたけれど
現金であれば分けやすいが、不動産や設備が多い場合は「どう分けるか」の話し合いが必要になる。
土地は3等分できないからだ。
特に複数の不動産を持つ家庭では、相続人全員の合意が必要な遺産分割協議が、時間も手間もかかることがある。
自分の家に当てはまるか、チェックしてみた
以下は「把握できていないことが多い家庭」のチェックリストだ。
当てはまる数が多いほど、一度確認しておく価値があると思う。
確認しておきたいことリスト
私自身、ほとんど把握できていなかった。
問題があるかどうかより、「把握していない」こと自体が、いざというときに困る原因になる。
そう気づいたのが、今回のニュースをきっかけに調べ始めたきっかけだった。
聞きにくいのは、みんな同じ
親にお金の話を切り出しにくい、という感覚はよくわかる。
ただ、手続きで困るのは自分たち兄弟だ。
元気なうちに話しておくことは、親の死を急かすことではなく、家族全員が「いざというときに慌てなくて済む」ための準備だと思っている。
知らないと困る、3つの手続きの落とし穴
相続は「発生してから初めて動く」ことが多い。
そのとき初めて「知っていればよかった」と気づく手続きがいくつかある。
相続放棄には3ヶ月の期限がある
相続放棄は、プラスの財産もマイナスの財産(借金など)もすべて放棄する手続きだ。家庭裁判所に申述する必要があり、「相続の開始を知った日から3ヶ月以内」という期限が民法で定められている。この期限を過ぎると、原則として相続を承認したものとみなされる。
※ 民法915条。やむを得ない事情がある場合は期間の伸長を申し立てることもできる(同条1項但書)。
名義が古いままの不動産は手続きが複雑になる
不動産の名義が祖父母など以前の世代のままになっているケースがある。この場合、現在の相続手続きと過去の未了の相続手続きを同時に進める必要があり、関係する相続人の範囲が広がることがある。なお2024年4月から、相続登記(不動産の名義変更)が義務化された。相続を知った日から3年以内に登記しないと、10万円以下の過料の対象になる可能性がある。
※ 不動産登記法76条の2。2024年4月1日施行。施行前に発生した相続も対象で、その場合は2027年3月31日までの登記が必要。
相続した土地は「いらない」では済まない
売れない土地や利用する予定のない土地も、相続すれば固定資産税の支払い義務が生じる。兄弟間で共有名義にすると、後で売却や処分をするときに全員の合意が必要になる。2023年4月から「相続土地国庫帰属制度」が始まり、一定の条件を満たせば相続した土地を国に引き取ってもらえる制度ができた。ただし審査があり、すべての土地が対象になるわけではない。
※ 相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律(2023年4月27日施行)。建物が建っている土地・境界が不明な土地は申請不可。農地・森林は申請できる場合もあるが審査が厳しい。法務局への申請が必要。
3つに共通しているのは、「知っていれば選択肢がある」という点だ。
期限も制度も、知らないと選べない。
まず今日できること、3つだけ
「専門家に相談しよう」「遺言書を書いてもらおう」という話は、いきなりハードルが高い。
まずはもっと小さなところから始めれば十分だと思っている。
固定資産税の納税通知書を確認する
毎年4〜6月に届くこの書類には、親が持つ不動産の一覧が載っている。「何枚届いた?」と聞くだけで、土地や建物がいくつあるかの概要がわかる。難しい話をしなくていい、一番入りやすい入口だ。
ニュースをきっかけに、雑談として切り出す
「中山美穂さんのニュース見た?相続放棄って知ってた?」くらいの入り方で十分だ。改まって切り出すより、話題から自然につなげる方が親も身構えにくい。
兄弟と「一度話そう」という合意だけ作る
全部決める必要はない。「いつかちゃんと話そうね」という共通認識を持つだけで、いざというときの動き出しが全然違う。LINEで「こんな記事読んだんだけど」と送るだけでも、きっかけになる。
専門家はいつ呼べばいい?
不動産が複数ある、会社を経営していた、兄弟間で意見が分かれそう、といった場合は、早めに専門家に入ってもらう方がスムーズなことが多い。
相続専門の司法書士や税理士への相談は、多くの場合初回無料で受け付けているので、「まず話だけ聞いてみる」という使い方でも十分だ。
相続は、準備した分だけ選択肢が増える手続きだと思う。
今すぐ全部解決しなくていい。
親が元気な今だからこそ、少しずつ話せる関係を作っておくことが、一番の備えになるんじゃないかと、調べながら感じた。
この記事が「うちも確認してみようかな」と思うきっかけになれば嬉しいです。
同じような状況の家族や兄弟にも、よければ共有してみてください。
この記事でわかったこと
相続放棄の案内はどこからも来ない。3ヶ月の期限を知っているかどうかが、選択肢の差になる。
相続税は自分で申告するもの。必要かどうかの判断も、自分側でやる必要がある。
税金よりも「手続きと話し合い」の問題。不動産・兄弟あり・自営業の家庭は特に早めの確認が必要。
今すぐ全部解決しなくていい。まず固定資産税の通知書を確認するところから始めよう。
【免責事項】 本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法律・税務アドバイスではありません。具体的な手続きについては、司法書士・税理士などの専門家にご相談ください。法律・制度は改正されることがあります。最新情報は各省庁・法務局のサイトでご確認ください。
勇者の1000時間の冒険はつづく⚔️


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